設立趣旨書

設立趣旨書

我が国の臨床医学の世界は、超高齢社会に向かって政治的にも医学界においても更に国民としても混迷を深めている。今日、明日の問題ではないが必ず超高齢社会は訪れこのままでは医療の大崩壊が始まる。医療機関の倒産、診療の受けるこのできない患者、医師を初めとする医療従事者の失業等の現在では想像できない医療崩壊が待っている。診療所を個人開業すれば儲かる時代の終焉が今そこまで迫りつつある。
では、医療の崩壊を防ぐ方法はどこにあるのだろうか。それを私たちは「臨床医学アナリシス」に求めるのである。政策、対策、計画等を実施する前には第一が情報の取集であり。第ニはその情報のアナリシス(分析)である。しかも、分析を誰が担当するかで分析の真実性、価値が変わるのである。当学会の臨床医学アナリシスは、当事者の分析は当然として第三者、外部者等が行う分析である。視点の異なる分析が必要なのである。しかも、医療崩壊を防ぐためには医療関係のあらゆる分野である広義の臨床医学の分析が必要である。広義の臨床医学とは、医療政策、医療制度、医療経済、医療経営、狭義の臨床医学等である。「医療」と言わずに「臨床医学」としたのは、臨床現場が最重要課題だと考えたからである。患者のための臨床現場があって、そのために医療政策があり、医療制度等が存在する。全ては、臨床現場の患者即ち国民が中心で回らなければならない。現在の臨床医学現場の現実は、患者はのけ者で医師が絶対的権力者として君臨し、支配された世界である。命の尊厳も真に理解されているとは考えられない。高齢者は検査もせずに「高齢が原因です。」と施設に回されてしまう。「年を取ったものは早く死ね」と言わんばかりである。そんな経験をした患者や家族は多いであろう。臨床医学アナリシス学は、年齢に関係なく命の尊厳を最重要視し、利害に関係なく真実の情報を広範囲にわたり収集し、分析する手法(臨床医学アナリシス)の学問である。従って、臨床医学アナリシス学とは、社会科学、自然科学を超えた極めて学際的な新たな学問分野である。
私たちは、臨床医学アナリシス学の調査研究を行い、学問体系の確立を目指し、我が国の医療崩壊を防ぐ新たな患者(国民)のための医療制度を提案したいと考える。私たちはその目的を達成するために日本臨床医学アナリシス学会を設立する。

令和2年4月1日

日本臨床医学アナリシス学会発起人一同

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